2026年6月、ロケット開発・衛星通信事業を手がけるSpaceX(SPCX)が米ナスダック市場に上場し、史上最大級のIPOとして世界的な注目を集めました。上場前の申込方法・目論見書の基礎的な内容は姉妹記事の「SpaceX(スペースX)IPOとは?日本からの申込方法・将来性・目論見書の見どころを徹底解説」で取り上げていますので、今回はその続編として、上場後およそ3ヶ月半の株価の動きを振り返ります。
SpaceXはどんな企業か
SpaceXは、ロケット「Falcon 9」やその後継として開発中の大型再使用ロケット「Starship」、衛星インターネットサービス「Starlink」等を手がける米国の宇宙開発企業です。創業者兼CEOはイーロン・マスク氏で、上場後も同氏が議決権の大部分を握る株式構造となっています。
史上最大級とされたIPOの規模
SpaceXは2026年6月12日にナスダック市場へ上場しました。公開価格は1株135ドルで、Aクラス株式555,555,555株が売り出されたとされ、機関投資家と個人投資家の配分比率は概ね7対3だったと報じられています。調達資金はAI向けデータセンターや衛星通信網(Starlink)の拡張投資等に充てられる計画とされました。上場初日の終値は161ドル(公開価格比+19%)となり、時価総額は約2.1兆ドルに達したと報じられています。マスク氏は上場後も議決権の8割超を保有しているとされ、経営の主導権は同氏に強く集中した状態が続いています。
初値から一転、公開価格割れ・半値近くまでの急落
上場直後は好調だったSpaceX株ですが、その後は大きく下落しました。2026年7月16日には、Starshipの13回目の試験飛行が打ち上げ直前にエンジン点火不良で中止となり、この日の終値は135ドルの公開価格を初めて下回る131.11ドルまで下落、時間外ではさらに下げて125ドル近辺まで売られました。株式市場全体で宇宙関連銘柄への売りが先行していたことに加え、バリュエーション(企業価値評価)への懐疑論、AI関連の設備投資を借入で賄っていることへの懸念、インサイダーのロックアップ解除を見据えた需給悪化懸念等が重なったとされ、7月末までに上場後の高値から約50%下落する場面もありました。
この間、市場の評価は強気・弱気で大きく分かれました。著名投資家のジョージ・ノーブル氏は「自身のキャリアで最も深刻な大型株のバリュエーション(企業価値評価)バブルだ」として、妥当な株価水準は1株30ドル程度に過ぎないとする弱気な見方を示しました。一方、S&P Globalが集計したアナリスト予想では、36人中28人が「買い」、2人が「売り」を推奨し、平均目標株価は約222ドル(最高450ドル、最低140ドル)とされるなど、アナリストの総意としては強気な評価が優勢です。いずれも第三者の見解であり、当社の見解ではありません。どちらか一方の見方が正しいと断定できるものではなく、実際の株価がこれらの水準に到達することを保証するものでもない点にご留意ください。
8月以降の回復とここまでの株価
7月末に大きく調整した株価は、8月に入り徐々に持ち直しました。8月10日には数週間ぶりに公開価格の135ドルを上回って引ける場面があったと報じられています。9月21日には149.80ドルと7月以来の高値をつけ、2026年9月25日時点では148.03ドル前後で推移しています。52週レンジは104.83ドル〜225.64ドルと非常に値幅が大きく、上場からわずか3ヶ月半程度の間に高値から半値近くまで下落し、その後再び戻すという値動きの荒さが際立っています。実際の最新チャートはTradingViewの銘柄ページでご確認いただけます。
注目したいリスク要因
- 極めて大きな値動き:上場後3ヶ月あまりで50%規模の急落と回復を経験しており、短期的な価格変動リスクが非常に大きい銘柄です。
- 創業者への議決権集中:マスク氏が議決権の8割超を保有しているとされ、一般株主の意向が経営判断に反映されにくいガバナンス構造である点に留意が必要です。詳しくは議決権の解説もご参照ください。
- Starshipの開発・打ち上げの実行リスク:7月の打ち上げ中止のように、大型ロケット開発には技術的な遅延・失敗のリスクが伴い、株価に直接影響しうる材料です。
- バリュエーションをめぐる評価の分かれ:時価総額2兆ドル規模という水準の妥当性について、強気・弱気の見方が大きく分かれている状況です。
- 為替・海外株特有のリスク:米ドル建ての銘柄であるため、日本の投資家にとっては株価変動に加えて為替変動リスクも生じます。
まとめ
SpaceXは史上最大級の資金調達額で上場した一方、上場後わずか1ヶ月程度で公開価格を割り込み、高値から半値近くまで急落するなど、極めて値動きの荒い展開となりました。9月にかけては持ち直しの動きも見られますが、創業者への議決権集中や開発リスク、バリュエーション評価の分かれといった論点は解消されたわけではありません。話題性の高さだけで判断せず、値動きの荒さそのものをリスクとして理解したうえで注視していくことが重要です。





























