
市場“地合い”を科学する!
A/Dライン(アドバンス・デクラインライン)活用大全
A/Dラインとは何か?~直感的なイメージ~
A/Dライン(アドバンス・デクラインライン:Advance/Decline Line)は、「市場全体の上昇銘柄数と下落銘柄数の差」を累積してグラフ化したテクニカル指標です。
例えば日経平均やS&P500のような「株価指数」だけではわからない、“個別銘柄の広がり”や“市場の本当の地合い”=内部要因(マーケットブレッドス)を分析できます。
投資の現場では「指数が上がっている裏で実は多くの銘柄が下落している」という矛盾や、「地合い悪化のシグナル」を察知するのに重宝されます。
A/Dラインの計算方法と仕組み
- その日の「上昇銘柄数(アドバンス)」から「下落銘柄数(デクライン)」を引き算します。
- この値を前日までの“累積値”に加えることで、A/Dラインが継続的に描かれていきます。
- 結果として「市場全体の値動きの広がり感」や「本物のエネルギー」が見える化されるのです。
- 通常は株価指数と一緒にチャートで表示され、“乖離”(ダイバージェンス)を見ることで市場の転換点を予兆します。
A/Dラインと関連キーワード徹底解説
キーワード | 意味・解説 |
---|---|
アドバンス(Advance) | 当日値上がりした銘柄。市場全体の上昇圧力の大きさを表す。 |
デクライン(Decline) | 当日値下がりした銘柄。地合いの悪化度や売り圧力を示す。 |
マーケットブレッドス(内部要因) | 指数だけでなく「全銘柄の広がり」を加味して市場の健全性を評価。 |
ダイバージェンス | 指数とA/Dラインが逆方向に動くこと。市場の天井や底を示唆する「異変」シグナル。 |
値がさ株/小型株 | 指数を大きく動かしやすい値がさ株と、A/Dラインで拾いやすい小型株群の存在。 |
イコールウェイト・インデックス | 全銘柄「均等加重」で算出する指数。時価総額型と比べA/Dラインの動きと相性良い。 |
サマリー指標(Advance/Decline Ratio等) | 上昇/下落銘柄数の比率やトータル数値など、他の内部指標も市場観測に利用。 |
チャートアナリシス | A/Dラインを他のテクニカル分析や移動平均線などと組みあわせる手法。 |
A/Dラインから見抜く「強い」株価指数と「異変」のサイン
- 指数もA/Dラインも同時に上昇:本物の強気トレンド。市場全体に買い圧力が波及。
- 指数が高値更新、A/Dラインが伸び悩む:一部大型株だけの上昇、地合い悪化の兆し。
- 指数が下落局面なのにA/Dラインは下げ止まり:売り疲れ・反転の予兆となることも。
- 「強気相場後半」での指数―A/Dライン乖離:バブル天井・相場転換のサインケースが多い。
ダイバージェンスが示すもの~乖離パターンの再点検~
もっとも有名なシグナルはダイバージェンス(乖離)です。
例:株価指数が上昇し続けてもA/Dラインは横ばい~下落の場合、“市場全体”は実は弱っている可能性。逆に指数が安値圏でもA/Dラインが切り返し始めていれば反発期待が高まります。
乖離チェックは「トレンド転換」や「危機回避」の早期シグナルとして活用できます。
歴史とA/Dライン~バブルとクラッシュ事例で学ぶ
- 米国株暴騰期(バブル崩壊~リーマンショックなど):天井圏でA/Dラインが急鈍化し、クラッシュに先立つ“警告”となった。
- 日本バブル崩壊:日経平均の高値圏でA/Dラインが徐々に崩れ、単なる指数上昇の裏で投資家層の離脱が進行していた。
- コロナショック時:多くの国でA/Dラインが数日から数週間先行で大暴落を予兆。
現代のテクニカル分析での活用法
- S&P500や日経平均など主要株価指数の売買判断の補助線として。
- 短期~長期分析まで、時間軸別にA/Dラインを平行表示して相場地合いを多面的に分析。
- 大型株主導/小型株主導のトレンド変化を比較し、分散投資や逆張り戦略に応用。
- 投資信託・ETF運用でも「マーケットブレッドス」把握で資産配分最適化へ。
A/Dライン以外の内部要因指標との違い
- Advance/Decline Ratio(A/Dレシオ):上昇数÷下落数。A/Dラインとの複合分析が有効。
- ニューハイ・ニューロー:新高値・新安値銘柄数の推移。相場勢いの「質」判定に重要。
- トリノート:市場全体の取引ボリューム動向観測。
- 出来高加重A/Dライン:量的側面もプラスした改良型指標。
A/Dラインの落とし穴と注意点
- 時価総額が小さくても1票なので「小型銘柄偏重」になりやすい。
- 上昇・下落の基準が終値か日中の変動かで違いが出る。
- 地合いの長期トレンド変化には強いが、短期の逆行シグナルはダマシも多い。
- 指数登場(新規株上場、廃止)の影響でライン自体が段階的にズレる場合がある。
- 過信や単独利用より他の指標との「組み合わせ」が重要。
まとめ
A/Dラインは単なるテクニカル指標ではなく、「市場の根本的な地合い」「見えざるリスクやチャンス」を感度高く映し出す“市場の本質”を知るツールです。特にダイバージェンスを活用したリスク管理や、トレンド転換予兆の早期発見に有効。
ただし万能ではないため、他の指標や自分の投資方針と併用し、冷静に市場を観察し続けることが大切です。A/Dラインを味方に、マーケットの“裏の動き”をつかむ目を育ててみてください。
本記事は2025年8月時点の一般的な市況および文献をもとに執筆しています。正確な投資判断の際は専門家や生データの活用も推奨します。