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暗号資産(=仮想通貨)ETF解禁と分離課税で“吊り上げ企業”は終焉? ~日本市場の新展望を読み解く~








仮想通貨ETF&分離課税時代へ──“ビットコ吊り上げ企業”は淘汰されるのか?

2025年、日本政府が「暗号資産ETF承認」や「20%分離課税適用」を本格検討する中、これまで“擬似ビットコETF”路線で暗号資産保有を開示し、注目を浴びてきた企業たち(メタプラネット、堀田丸正、ストラテジー等)は根本的な転機を迎える可能性が高まっています。ETF解禁と分離課税が「仮想通貨株投資」の構造自体を大きく変え、従来の“株価吊り上げ役”が役割を失う未来へ──法改正、制度変更、投資家行動、国内外市場のキーワード解説も交えて、最新の大潮流を徹底解説します。


目次


新制度検討の背景と市場インパクト

2025年夏、金融庁が「暗号資産取引に係る課税の見直し」「ETF解禁」を公式に要望し、税制改正・証券法改正の本格議論が加速しています。ここ2年で米国では10本近い現物型ETF承認が進み、ビットコイン市場の流動性・価格が急拡大。日本では「投資信託法の特定資産」追加や監督指針変更など法的ハードルの議論が進み、「2026~2027年にETF解禁」の可能性も浮上しています。
同時に、税率55%(最大)の総合課税から「20%分離課税」導入が政策テーマとなり、個人投資家の新規参入、国内外機関投資家の資金流入が期待されています。

注目キーワード解説

  • 暗号資産ETF(仮想通貨ETF):ビットコインやイーサリアム等の現物/先物/関連資産を裏付けとするETF(上場投資信託)。証券会社を通じて手軽に暗号資産投資が可能になる。
  • 分離課税:暗号資産取引の利益を他所得と切り離し、一定税率(20%など)で課税できる制度。税負担軽減・損益通算可も改革のポイント。
  • 投資信託法:ETFや投資信託の運用対象資産を定める日本の法制度。現在は暗号資産現物は対象外だが、法改正に向け議論中。
  • カストディ:ETFの資産管理・保護を担う機関。「現物型ETF」普及には信頼性確保のため重要。
  • 株価吊り上げ戦略:企業が自社でビットコイン保有を開示し“疑似ETF”化することで投資家注目を集め、株価上昇を狙う手法。

“疑似ビットコETF”企業とは何か

日本では“現物型暗号資産ETF”が未承認のため、メタプラネット堀田丸正ストラテジー等、上場企業が積極的にビットコインやイーサリアム等の保有を開示し、「暗号資産を持つ企業」に変貌する事例が増加。その時価/保有量/資産構成を材料に“株価吊り上げ”の契機となってきました。国内で「ビットコETF新設」が困難なため、擬似ETF投資需要が一部株へ集中する潮流となったのです。

ETFと分離課税の仕組み

ETF(上場投資信託)は従来、現物株や債券・不動産・各種指数などを裏付けにしてきましたが、2024年~2025年の米国ETF解禁流れを受け、日本でも「暗号資産ETF」整備が現実味を帯びています。
暗号資産ETFが証券会社経由で売買可能となれば、現状の取引所・ウォレット管理不要で投資可能になり、個人/機関投資家の参入障壁が大幅低減。「分離課税」導入で利益に対し一律20%課税となれば、利益確定時の税負担も大きく軽減されます。

制度変革がもたらす株価インパクト

ETF承認&分離課税導入が実現すれば、これまで“疑似ETF”として機能してきた暗号資産保有企業への投資需要は著しく減少する見通しです。なぜなら、証券会社で正式に暗号資産ETFが買えるなら、「企業を通して間接的にビットコインに投資する」動機が希薄になり、純粋なETFファンド・信託へ資金が流れるからです。
これにより株価のボラティリティ・投機性も低下し、“株価材料としての暗号資産保有”戦略の役割がほぼ消失、企業は本業収益力・成長戦略へ回帰を迫られるでしょう。

メタプラネット・堀田丸正・ストラテジーの現状

メタプラネットは国内外でビットコイン保有量開示・自社資産構成のPRを行い、2023~2025年の株価急騰「暗号資産関連バブル」を牽引しました。
堀田丸正は2024年以降、異業種ながら資産保有スタイルを強調し、“ビットコイン保有会社”への注目度を高めてきました。
ストラテジーなどは、ロングポジションや資産戦略の一部に仮想通貨保有を活用し“新材料”として話題化。しかし今後はETF市場が本格普及すれば、これら企業への投機的資金流入が限定的となる可能性が濃厚です。

今後の市場展望と投資戦略

ETF承認&分離課税が現実化することで、投資家は“よりセーフ・効率的かつ透明な”仮想通貨投資を選好することになります。短期の株価材料ではなく、長期的な「資産分散」「ポートフォリオ構成」の一部として認識されるでしょう。
日本市場でも海外ETFの流入、証券会社の販売チャネル拡大により仮想通貨への資金流入自体は維持・拡大する見込みですが、“吊り上げ企業”の優位性・材料性は大きく失われます。
今後有望なのはETF運用会社・信託銀行・デジタルカストディ事業、暗号資産のシステム運用やインフラ分野、本業収益力を強化する企業。投資家も「本業+暗号資産の資産構成」を冷静に見極め、制度変更を前提とした長期的ポートフォリオの再設計が必須となります。

まとめ

日本政府による暗号資産ETF承認/分離課税導入は、これまで“株価吊り上げ”戦略で人気化した関連企業にとって大きな構造転換をもたらします。制度変更下では本業の収益性・成長力への選別投資が進み、ETF・信託型商品が仮想通貨投資のメインルートとなる未来が近づいています。最新ルールと制度動向は常に注視し、時代の転換点で一歩先の投資戦略を構築しましょう。



本記事は2025年時点の市場・制度動向、公知の情報を基に執筆しております。投資判断はご自身の責任でお願いします。





※ 本記事は特定銘柄の推奨や売買を勧誘するものではなく、情報提供のみを目的としています。記事内で取り上げた銘柄について、筆者または当社が保有している場合がありますが、利益相反防止の観点から、執筆内容は公正・中立性を保つよう配慮しております。投資判断は必ずご自身で行ってください。

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