決算書1枚でわかる優良株の条件：投資家が必ずチェックする5大ポイント

決算書の3表と役割

決算書は「損益計算書（P/L）」「貸借対照表（B/S）」「キャッシュフロー計算書（C/F）」の3表で構成され、それぞれ「稼ぐ力」「財務状況」「現金の流れ」を示します。投資家はこれらを総合的に見て「成長性」「収益性」「安全性」を評価します。

単年度の数字だけでなく、3〜5年推移と同業他社比較が重要。決算短信や有価証券報告書で確認し、IR資料や決算説明会資料で経営者のコメントも併用すると精度が上がります。

必須キーワード解説

• 売上総利益：売上高－売上原価。本業の粗利益力を見る。
• 営業利益：本業の純粋な稼ぐ力。販管費控除後。
• 自己資本比率：自己資本÷総資産。財務健全性の王道指標。
• 営業キャッシュフロー：本業で生み出した現金量。
• フリーキャッシュフロー：余剰現金。配当・投資余力。

損益計算書：収益力の真実

損益計算書は「売上→粗利→営業利益→経常利益→純利益」の流れで本業の強さを確認。上から順にチェックし、どこで利益が消えているかを特定します。

売上増でも利益率低下は「値下げ競争」「原価高騰」の赤信号。営業利益率10%超を継続できる企業が長期優良株の条件です。

貸借対照表：財務安全性の鉄則

貸借対照表で「資産＞負債」の健全性を確認。自己資本比率50%以上、流動比率100%以上、当座比率80%以上が安全基準です。

受注残高や棚卸資産増加は受注好調サイン、在庫増加は売れ残り懸念。長期借入金の返済スケジュールも要チェックで、5年以内の多額返済予定はリスク要因です。

キャッシュフロー計算書：本物の稼ぐ力

損益計算書の「利益」と異なり、キャッシュフロー計算書は「実際の現金収支」を示します。営業CFが黒字継続、フリーCFもプラスなら「稼げる企業」です。

• 営業CF＞純利益：利益の質が高い
• 投資CFマイナス：成長投資継続中
• 財務CFプラス：借入増加に注意

前期比で営業CF減少は本業の現金創出力低下のサイン。C/F重視派投資家はこれを最重要視します。

5大財務指標で総合判断

同業他社・過去との比較法

単独数字より「業界平均」「同業他社」「過去3-5年推移」との相対比較が重要です。ROE15%でも業界平均20%なら見劣り、自己資本比率40%でも業界30%なら優良です。

売上・利益の季節性も把握。決算期直前の水増しや、在庫調整による数字操作に注意し、四半期決算の整合性も確認します。

実践チェックリストと注意点

1. 売上・営業利益：前年比+10%以上成長継続
2. 営業利益率：業界平均以上、横ばい以上
3. 自己資本比率：50%以上、低下傾向なし
4. 営業CF：黒字拡大、純利益超え
5. ROE：15%以上、安定推移

赤信号：売上増でも利益減、借入依存、CFマイナス、指標悪化傾向。決算修正多発企業は信頼性に疑問符。

まとめ：決算書で銘柄選定が変わる

決算書の5ポイント（収益性・安全性・キャッシュ・指標・比較）を押さえれば、数字から企業の本質が見えます。優良株は「成長＋安定＋現金力」の3拍子揃った企業です。

毎決算でチェック習慣化し、株価変動の「理由」を数字で説明できるようになれば、投資判断力が格段に向上します。