INPEX(
1605)──割安株の雄、資源安でも配当維持!LNGとエネルギー転換の最前線を読む
目次
1. 基本指標・株価バリュエーション
| 項目 | 数値(2025年10月24日時点) | ポイント |
|---|---|---|
| 株価 | 2,798円(前日比+14.5円) | 年初来高値近辺、堅調推移 |
| PER(予想) | 8.8倍 | 割安水準 |
| PBR | 0.70倍 | 解散価値の7割で取引 |
| 配当利回り | 4.48%(年100円/株) | 5期連続増配を達成 |
| 自己資本比率 | 65.3% | 重資産企業としては高水準 |
PERが一桁台、PBR0.7倍と極めて割安なバリュエーション。2025年の配当予想引き上げにより、配当利回り4.48%と国内上位クラスの高水準です。景気後退局面やエネルギー価格変動への免疫も徐々に強化されています。
2. 業績と成長性:LNG事業の柱
- 2025年1~6月期:売上1兆0488億円(▲11.9%)、純利益2235億円(+5.1%)
- 通期予想:純利益3700億円(▲13.4%)、売上2兆2658億円
- 2024年実績:純利益4273億円で過去最高、2025年はやや減益も高収益継続
- LNG事業が柱(イクシスLNG:豪州)、世界LNG供給の10%超に関与
- 政策投資・開発(アバディLNG、ボナパルトCCS、サハリン2拡張)に注力
イクシスLNGは年間890万トンの生産能力を持ち、INPEXの営業利益の約7割を稼ぐ主力事業。インドネシア「アバディLNG(2030年稼働予定)」でLNG事業を倍増へ。アジアのLNG需要増がそのまま会社の成長余地になります。
3. 直近決算と市場評価
- 2025年Q2決算:売上減少(原油安)が影響も税効果で純利益はプラス維持
- 営業利益9160億円(▲28%)、経常利益9570億円(▲26.3%)
- 生産は堅調、イクシスLNGの稼働率・収益率も高水準
- 株価は年初比約+12%で推移、日経平均の防衛役として存在感
- 11月13日に次回決算予定、上方修正期待残る
原油価格下落により売上が減った反面、純利益・CFは維持。減収増益型の「地力型決算」です。アナリスト予想では中立〜買い継続評価が多数(平均目標株価2,504円)。
4. 財務健全性と資金繰り
- 現金・現金同等物:2,624億円(6月末)
- 非流動資産:6兆6470億円(石油・ガス資産)
- 負債総額:2兆2000億円、長期債1兆5650億円。
- 自己資本比率65%、負債返済弾力性高い構造
- 調達コストも低く、金利上昇耐性あり
固定資産負担の大きい資源企業ながら、健全な財務が特徴。開発プロジェクトのための負債増も適正範囲に収まっています。信用格付は国内Aクラス相当を維持。
5. 為替・資源価格リスク
- 海外売上比率70%以上、円安が収益追風
- 原油・LNG価格下落は直接的な収益減要因
- WTI 1バレル=70~90ドル水準で利益安定
- 円高/資源安局面では株価調整リスク大
INPEXは為替に強く、円高時の影響もヘッジで一定緩和。ただし資源相場の急落(WTI 60ドル割れ)が出ればダメージは免れません。長期では「LNG価格の粘り強さ」に支えられやすい構造です。
6. 景気サイクル・セクター分析
- 資源関連は景気循環依存セクターで、市況に敏感
- 原油・LNG価格は世界インフレ・地政学に連動
- 欧州のエネルギー危機、サハリン・中東依存の代替で日本顧客堅調
- 景気後退=需要低迷で減益リスク
2022~2025年のエネルギー供給危機局面以降、ASEAN向け輸出が支え。インフレと金利動向でセクターの見通しが変化するため、マクロ分析と併用が重要です。
7. 投資判断(ポジティブ/リスク)
ポジティブ材料
- PER8.8倍・PBR0.7倍と割安、増配継続で株主還元強化
- 財務安定、キャッシュフロー黒字持続
- エネルギー転換(LNG・CCS・再エネ)戦略で長期成長基盤あり
- 政府エネルギー安保の中核企業
リスク要因
- 原油・LNG価格下落シナリオ(1バレル70ドル以下)
- 円高局面の為替損失
- 大型プロジェクトの進行遅延・減損リスク
- 脱炭素競争で再エネ勢との競合強化
8. 配当・株主還元・優待制度
- 2025年配当:年100円(中間50円+期末50円)
- 前年実績:86円→14円増 5期連続増配
- 累進配当継続+総還元性向50%以上方針
- 株主優待:400株以上でQUOカード(最大3,000円)
配当+優待利回り合算では約5%。エネルギー株では珍しい安定配当を重視する姿勢が評価されています。
9. マクロ要因とエネルギー政策
- 円安が純利益押し上げ要因(輸出型構造)
- 日米金利差拡大・円安定着は追風
- 脱ロシア政策によりアバディLNG・豪州供給ルートが重要化
- 日本政府のエネルギー安保・LNG輸入戦略と連動
エネルギー安保は政局テーマとして継続、INPEXは国家戦略企業的な存在。政策リスクより政策メリット側に立つ企業です。
10. キャッシュフローと投資余力
- 営業CF:3,689億円(上期)
- 投資CF:3,642億円(新規開発費用)
- フリーCF黒字47億円と均衡型構造
- 自社株買い・設備投資を並行実施可能
キャッシュフロー構造は堅実。投資と還元を両立する姿勢で、成長投資を積極化しつつ累進配当も維持。
11. 投資スタイルと長期保有適性
- 高配当+割安株として中長期現物向け
- 資源循環に左右されるため安定ディフェンシブではない
- 短期売買より配当再投資・長期保有が基本
変動リスクを許容できるなら、INPEXはポートフォリオの「キャッシュフロー株」として安定運用に好適です。
12. 買い時・戦略の見方
- 景気減速・WTI70ドル以下局面での押し目買いが有効
- 配当4.5%水準を確保できる2,500円付近は「安全利回り帯」
- ドルコスト平均法で長期積立向け
直近株価2,800円は上限圏に接近しており、短期的な利益確定も視野。ただし長期では3,500円〜4,000円台回復余地もあり。
13. 総合評価と今後の展望
- 短期投資評価:★★★☆☆(堅調・材料出尽くし感)
- 中長期投資評価:★★★★☆(配当・エネルギー転換・政策後押し)
- LNG・CCS・再エネ拡充で2030年代も存続優位性
14. LNG・CCS・新規開発プロジェクト
- イクシスLNG(豪州)―生産年890万トン、日本向け70%供給
- アバディLNG(インドネシア)―2030年稼働予定、年950万トン
- ボナパルトCCS(豪州)―CO₂回収事業2027年商業化
- サハリン2―日本エネルギー供給ルート維持に貢献
中期的にはイクシス・アバディの2軸でLNG供給量を倍増させ、炭素回収でESG評価を向上。脱炭素と化石燃料の橋渡し役としてポジションを強化しています。
15. 投資家視点での最終結論
INPEXは「安定配当×エネルギー転換期×日本最大の資源企業」という独自ポジション。PER8倍台、配当利回り4.5%、累進配当方針により高配当バリュー株の代表例です。
原油相場が中長期的に70〜90ドルで安定するなら、堅調なCFが継続し、株主還元と設備投資の両立が可能。
エネルギー危機・円安基調・脱炭素インフラ投資の波に乗ることで、国内資源株の「ディフェンシブ+成長要素」を兼ね備えた投資対象となるでしょう。
※本レポートは2025年10月最新の決算資料、IR発表、株式市場データを基に独自編集。投資判断は自己責任で行ってください。











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