アドバンテスト（6857）──加速する半導体テスター王者のAIラリー、割高感と期待感のせめぎ合い

1. 基本指標＆株価水準

項目	2025年10月末	コメント
株価	18,120円	過去最高圏
PER（予想）	58.8倍	異例の割高圏、期待先行型
PBR（実績）	26.4倍	ブランド評価の極致
ROE（実績）	34.4％	超高収益モデル
自己資本比率	59.3％	資本安定・健全型
配当利回り	約0.28％	配当性向17.8％、インカム派に物足りず

成長株の極致。PER・PBRともに“日本で最も高い水準”の一角。

2. 業績推移・成長ドライバー

• 2025年3月期：売上7,797億円（+60.3％）、営業利益2,228億円（+179.5％）、純利益1,611億円
• 2026年3月期予想：売上9,500億円、営業利益3,740億円、純利益2,750億円
• AI・HPC向け半導体テスト装置需要の集中で過去最高益更新
• 米・中・欧拠点で大手顧客を多数確保

AI半導体投資が指数関数的に拡大する局面で「唯一無二」のシェアを獲得。売上・利益成長が突出。

3. 最新決算・アナリストの視点

• 2026年3月期第2四半期：売上5,267億円、営業利益2,324億円（+145％）
• 業績進捗率：通期予想62％超の高速達成
• アナリストの予想・目標株価も次々引き上げ
• 市場は「AI（推論・生成）×半導体×装置」の三重ドライバーで高評価

成長アクセル全開。過去にない大型商談と大量納入案件が集中して2025年度決算“青天井”相場に発展。

4. 財務健全性と資本政策

• 現金・有価証券等：3,512億円（2025年3月末）
• 有利子負債：935億円、自己資本比率59.3％
• 配当性向17.8％で還元余地は限定的
• ROE34％超、キャッシュ創出能力抜群

財務は健全そのもの。FCFも+2,100億円推定で、余剰資金は全て成長投資に還元。守りよりは攻めのバランス。

5. 外部環境・為替・市況リスク

• 為替：円安で輸出増益、円高で利益減圧力大
• 景気後退・設備投資減速時に高成長鈍化リスク
• 米中摩擦・先端半導体の輸出規制リスクも内在

“AI特需＋設備投資ブーム”の割に、グローバル環境への感応度も極めて高い点は注意。

6. セクターローテーション・景気サイクル

• 半導体製造装置セクター特有の「景気波動＋IT投資連動」型
• 生成AI・HPCに深く根ざした成長局面
• 逆風時の「落ち幅」も大きく、ボラティリティ注意

今は絶好調だが、サイクル転換期には50％超の調整例も歴史上見られる。

7. 配当・株主優待戦略

項目	内容
年間配当	39円（2025年度実績）、中間配当19円・期末20円
配当性向	17.8％（業績連動）
配当利回り	約0.28％（2025/10株価ベース）
還元方針	配当性向20％以上目標、成長投資優先
株主優待	制度なし

配当は象徴水準にとどまり、優待目的では向かない設計。現状「成長・値上がり益狙い」限定。

8. 投資判断・リスクと可能性

プラス材料

• 世界的AI・半導体特需と設備需要が「青天井」型成長を後押し
• 超高収益、ROE・FCF・成長率が市場トップ級
• 財務堅牢・グローバル囲い込み深度も極まる名門

マイナス材料

• PER/PBRいずれも“期待の暴走帯”で調整リスク大
• 配当・優待期待派にはほぼ無縁の銘柄
• 半導体設備投資バブル反転時は下落リスク台頭

9. 投資スタイル・買い時ガイド

• 長期保有で「成長枠コア」候補（分散投資必須）
• 短期は好決算・上方修正後の高値追いリスクに警戒
• 押し目待ち（調整局面・AIサイクルの谷）で徐々に拾い増しが安全

高値での新規一括買いよりも、「ショック安」「AI資本投資サイクル調整」に備えた段階投資推奨。

10. 総合評価と長期シナリオ

• 短期評価：★★★☆☆（急成長・高ボラ相場堪能型）
• 中期：★★★★☆（業績拡大・グローバルNo.1戦略）
• 長期：★★★★★（AI×半導体テーマ永続ブランド）

トップクラス銘柄の「青天井」と「谷底リスク」を両立。5年先を見据えた成長ポートフォリオの中軸候補。

11. 投資家へのメッセージ

アドバンテストは、“AI時代”の成長ダイナモ。バリュエーションの高さも、今のトップブランドだけに許されるもの。
「稼ぎ頭」としての役割を維持しつつ、景気サイクル調整や材料出尽くしには要警戒。安易な一括買いでなく、分散・押し目買いと成長シナリオの進捗確認を怠らず臨みたい。
配当・優待より値上がり益狙いの本格成長株主義投資家へ──その真髄を味わえる一銘柄です。

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※本レポートは2025年10月決算・株探・Yahoo!ファイナンス・みんかぶ等の公開情報を踏まえ独自構成。最終的な投資判断は各自の責任でお願いします。